財務3表マスター

会計の仕組みを知るなら、財務3表に取り組め!

企業会計と税務会計

中小企業の財務諸表は、上場企業のそれとは違い、財務諸表を開示しなくても問題になることはほとんどありませんから、税金を計算するために作っているケースがほとんど。

というのも、中小企業の場合、株主が社長または親族であるケースが多く、株主からの開示を求められない財務諸表は、他の利害関係者である税務署と銀行にしか開示されることはありません。

そもそも、すべての国内企業は税務申告をする義務があり、税金を計算することが最優先とされますから、どうしても銀行目線を意識した財務諸表を作ろうという意識が軽薄です。

日本の税制や申告書は、馬鹿げたくらい複雑で、自社の人材だけで完結することが難しく、どうしても税理士さんなどによる会計チェックをお願いしたり、税務申告書の作成を依頼してしまいます。

ノート
ノート

ですので、日々の仕訳から決算処理までがすべて税法上、正しい処理をしていることになるのですが、本来、会社の会計処理の方法は会社それぞれが経理規定を作っていくもので、実際のところ税法に定められているとおりの会計処理をしなければいけないという義務はありません。 もっとも、税法を無視したような規定は論外ですが・・・

さて、それぞれの会社ごとに合った会計処理をすると、税法上正しくない会計処理になることもでてきます。 とはいえ、会計処理の違いだけで税金の金額に差が出てしまっては不公平となるので、法人税の申告書においては、どんな会計処理をしても同じ税額になるように調整されています。

法人税法上の収益は「益金」といい、費用は「損金」といって、法人税の計算のおいては、益金から損金を引いて「課税所得」を算出します。 しかし会計上は収益から費用を引いて利益を出しますが、益金=収益ではなく、損金=費用とはならないため、課税所得と利益は異なってきます。

しかし、申告書で調整するのが面倒なうえ、中小企業の経営者も税金の計算のために決算をしていると思っているわけで、いわゆる「税務会計」と呼ばれる税法の課税所得通りの利益になってしまいがちで、例えば、税法上耐用年数が20年とされているものを会社が10年で使うのであれば10年で減価償却したほうが正しい会計処理になるのですが、なかなかそこまで考えが及ばないなんてこともしばしば。