財務3表マスター

会計の仕組みを知るなら、財務3表に取り組め!

国内会計不正 5年で3倍

日本の国内企業の会計不正が急増しているのだそうで、日本公認会計士協会によれば2020年3月期は101件と前の期から7割増え、5年前の3倍となったのだそうです。

このうち大半が上場企業のようで、損益や財務を実態よりよく見せようとする動きが目立っており、15年の企業統治指針導入で社外取締役の採用拡充など経営監視の体制作りは進んでいるとはいえ、実効性にはなお課題がありそうですね。

会計不正
会計不正

財務諸表の意図的な虚偽にあたる粉飾決算、着服など資産流用の2つを不正と定義し、公表日を基準に集計したのだそうで、前期は粉飾が前の期比8割増え、全体を押し上げたようで、これは内部通報制度が浸透し、不祥事が表面化しやすくなった影響もあるようで、個別では、ジャパンディスプレイで過去の在庫の過大計上が、ネットワンシステムズ東芝子会社などが関与した架空取引が発覚。

不正を早期にあぶりだそうと監査法人側も対策を急いでおり、人工知能(AI)で取引データを分析し異常値を検知するなど、不正を発見する仕組みの構築を進めているようです。

東証1部企業では、全取締役に占める社外取締役の比率が初の3割台に達するなど体制作りが進んでいるとはいえ、今後は経営サイドと現場とのより踏み込んだやり取りなど機能面の拡充が欠かせないでしょうね。

大企業、国際会計基準に一本化

トヨタ自動車が2021年3月期から国際会計基準IFRS)へと移行し、海外展開する日本の多国籍企業会計基準IFRSにほぼ一本化されるようですね。

IFRSはヨーロッパやアジアで採用が進んできていますから、いい加減日本もガラパゴスのままでは世界とは戦えませんから、世界基準に足並みを合わせることで財務情報を素早く把握できるようになっていきそうですね。

国際会計基準IFRS
国際会計基準IFRS
ちなみに上場企業のIFRS採用企業は、時価総額ベースで合計256兆円となり占有率は40%を超えたのだそうで、これは5年前に比べて2倍となり、時価総額トップ10社を見ると、ソフトバンクグループやファーストリテイリングなど8社がIFRSを採用しているのだそうです。

まぁ、世界を見ている企業は、この辺を世界基準にしておかなければ、太刀打ちできませんよね。

今回、トヨタは「資本市場での財務情報の国際的な比較可能性の向上などが目的」として今期にIFRSへの移行を決めたようで、このIFRSの採用を巡っては、09年に金融庁企業会計審議会が「15年にも上場企業にIFRS適用を義務付ける」という可能性を示したのですが、経済界などの反対を受けて11年に強制適用の延期を表明した経緯があり、現在は任意適用にとどまっていますが、海外投資家のマネーを呼び込む狙いでIFRS採用企業が増えているのだそうです。

そういうことなんですよね。

また、アメリ会計基準の制度変更もIFRS採用拡大につながっているようで、アメリ会計基準は17年12月以降に始まる会計年度から、持ち合い株の評価損益をPLに反映させることを義務付けるルールに変更され、トヨタ自動車は19年3月期に約3400億円の損失を計上しています。

IFRSでは、持ち合い株の価格変動はPLに影響せず、貸借対照表(BS)のみに反映させることが可能となっており、持ち合い株の多い日本企業は「業績のブレを抑えるため、アメリカ基準を敬遠する傾向が強まっている」のだそうで、いまではアメリ会計基準を採用する国内企業がソニー村田製作所など約10社となっているようです。

伸びる会社の見抜き方

決算書は会社の成績表のようなもの。 B/Sからわかるのは、企業の安全性、収益性、成長性の3つで、自己資本比率はまず第一の安全性の指標で、会社が持っている資産のうち、株主の持ち分がどのくらいあるのかを示す割合なので、この自己資本比率が低い場合、借金の返済や利息が収益を圧迫する可能性があります。

日本の全企業の平均からすると、資産総額の3分の1の自己資本があるとおおむね財務体質に問題はなく、40%以上あれば理想ラインだともいわれています。

自己資本利益率ROE)と総資産利益率ROA)は、収益性を判断する指標で、ROE当期純利益÷自己資本(期中平均)×100で計算するのですが、このときの自己資本は期首と期末の平均値を利用します。

というのも、当期純利益は当期首から当期末までの1年間で稼ぎ出した利益なので、自己資本も当期首と当期末の平均値を利用したほうがより実態に近くなるわけで、これと同じ理由でROAの総資産も期首と期末の平均を利用します。

ROE自己資本を利用してどれだけの利益を上げたかを表す数値であり、この数値が高いほど株主の投資効率が高く、ROAは総資産を活用しいかに効率よく利益を上げているかを示す指標ですので、上場企業の合格ラインはROEが10%以上、ROAは8%以上が目安となっています。

財務
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そして純資産成長率は成長性を判断する指標で目安は3%以上。

P/Lでは主に収益性が判断でき、売上高成長率は過去5年程度の数値の変化に着目し、伸びているかをチェックするようにしましょう。

総資産回転率は、資産の何倍の売上高があるかを示し高いほど良く、営業利益率は、企業の稼ぐ力を示しています。

C/Fでは主に安全性を確認できるが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/F。 健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的。 「当期純利益のほうが多い場合には余剰在庫を抱えていたり、不良債権が多いなどの可能性があります」

投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れ、そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。

また、営業C/Fと投資C/Fを足したものをフリーC/Fと呼び、これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。